「まわし物件」とは何か?現役不動産営業が解説!

この記事ではこんなお悩みにお答えします

・物件の内見に行くのは初めてだけど、不動産屋に騙されないための知識を事前に知りたい。。

・内見の数は多いのに、どうしてなかなか自宅が売れないのかな。。?

家探し初心者さん

不動産業界には「まわし物件」っていうものがあるんですよね?騙されないか不安だなぁ。。
「まわし物件」は有名ですよね。業界ではよくおこなわれている営業手法の一つです。

鹿児島 二郎

 

さあ、やって参りました。

不動産業界の闇を赤裸々に発信する、裏事情解説の記事でございます。

今回ご紹介するのは「まわし物件」についてです。

不動産屋が購入希望者に複数の物件を見せる際の営業テクニックを表す言葉ですが、所有不動産を売却する売主様にも知って頂きたい情報です。

是非、最後までご覧ください。

「まわし物件」とは何か?現役不動産営業が解説!

家の模型を持つビジネスマン

最初に結論からご説明します。

「まわし物件」とは、「本命物件の引き立て役」となる物件のことです。

不動産屋が購入検討者を物件現地に案内する際は1件だけではなく、3~5件程度の物件を同時に見せるのが一般的です。

複数の物件を見せることで購入を打診できる候補が増えますし、顧客側も物件の比較検討ができるというメリットがあります。

この案内の際、不動産屋が買わせたい物件を良く見せるために、当て馬として見せるのが「まわし物件」というわけです

どうしてこのようなことがおこなわれるのか?

事項にて詳しく解説します。

なぜ「まわし物件」が必要なのか?

考える猫

(1)両手仲介物件に誘導するため

不動産仲介では、売主様・買主様のどちらか一方をお手伝いする取引を「片手」、反対に、自社で売主様・買主様双方をお手伝いする取引を「両手」と呼びます。

「両手」の場合は仲介手数料を売主・買主からそれぞれもらうことで報酬が2倍になるため、不動産屋にとっては非常においしい商売であるわけです。

 

両手仲介の仕組みについては、以下の記事で詳しく解説をしております。

この両手になる物件は、多くの場合新築戸建やリノベーション済みのマンションになりますが、価格には売主である不動産会社の利益が乗っているため、全てではありませんが、結果として割高であるケースがあります。

そこで不動産屋は、「条件が悪いのに相場より高く売り出しているまわし物件」を一緒に内見させることで、本命物件の相対的な価値を高める演出をするのです。

 

「不動産会社から値下げを提案されているけど、内見に来てくれる人は多いからこのままの価格で売れるのでは。。?」

そんな風に思っている売主様、残念ながら既に赤信号です。

鹿児島 二郎

 

あなたが熱い検討客だと思っている内見希望者は、不動産屋のシナリオに沿ってまわし物件を見せられに来ただけ

数ヶ月もすれば、何人かは隣の丁目の新築戸建でハッピーな新生活を始めているかもしれません。

不動産屋の営業マンは案内に備えて複数の物件を下見し、本命物件をよく見せるためのストーリーを描いています。

初めて内見に行くのであれば、覚えておいて損は無い知識です。

 

家探し初心者さん

うわあ。不動産屋はそんなことを考えているのか。。
買主様側の立場についても注意点を解説すると、内見を希望していないエリアの物件や、案内コースの前半(個人的には2番目くらいが最も多いと感じます)で見せられる物件は、本命物件を売るためのまわしであるパターンが結構あります。

鹿児島 二郎

 

(2)「デメリットも説明してくれる営業マン」を演じることができる

私の勤める大手仲介会社の成約者アンケートでは、

「物件のデメリットも説明してくれたので安心できた!」

というありがたいお褒めの言葉をよく頂戴しています。

ただでさえ押し売りの文化を感じる不動産業界では、デメリットを説明するというのはお客様からの信頼を得るための有効な手段なのです。

とはいえ、本命物件について「本当は相場より高いです!」「ついでに治安も悪いんです!」等とストレートな説明をしていたら、それが相対的に良い物件であっても売れやしません。

しかし、最初から当て馬として用意した「まわし物件」なら話は別です。

 

「この物件は築後20年も経っているのに、新築と大して変わらない価格で売り出しているんですよー」

 

「図面に眺望良好って書いてありますけど、要するに坂の上なんですよね(笑)」

 

「私、嘘がつけないんですが、この物件は〇〇様にはおすすめできませんね(キリッ)」

 

メチャクチャにこき下ろすことでお客様の信頼をゲットできます。

 

家探し初心者さん

たしかにこう話されると、親切な営業マンだと思ってしまうかも。。
「この人は正直な人だ」と思ってもらえますからね。「まわし物件」は不動産営業の強い味方です。

鹿児島 二郎

 

(3)悪い物を見なければ、良さも理解できない

ここまで散々「まわし物件」の悪いところを書き連ねてきましたが、程度の差はあれ、悪い物件も見てもらう」という行為はどの不動産営業も(かくいう私自身も)やっています

その理由は、「悪い物を見なければ、良さも理解できない」から。

例えば、お客様の希望に沿う物件だけを厳選してお見せしたとしましょう。

お客様は喜ぶかもしれませんが、往々にして、

「もっと良い物件が出てくるのでは。。?」

などと考えて購入に踏み切れません。

 

実を言うと、これは私が新入社員の時に失敗した経験を基にお話ししています

「お客様の貴重な時間を頂くのだから、良い物件だけ見てもらいたい!!」

純粋な気持ちでそのエリアで最高の物件を見せ続けた結果、そのお客様は何が良いのか分からなくなってしまい、購入の意欲もしぼんでしまいました。

 

「良い物件」というのは、どこまでいっても比較の問題でしかありません。

大切なのは、自分でSUUMOやat home等のポータルサイトで情報を集め、不動産屋から提供される物件以外の選択肢を知ることです

「まわし物件」自体は問題のある行為として語られる商慣習ですが、適切な情報を比較した上で物件の良さを判断することができれば、あなたにとって最適なマイホームに出会うことができるでしょう。

 

家探し初心者さん

悪い物件と比較することで、物件の良さを理解できる場合もあると。。
その通りです。私はお客様から「あの時買っておけば良かった。。」と言われたことが何度もあります。時には背中を押してあげることも必要なのです。

鹿児島 二郎

 

まとめ

浜辺を飛ぶ鳥

  • 「まわし物件」とはすなわち、「本命物件の引き立て役」のこと
  • 営業マンは「まわし物件」によって購入検討者を両手仲介物件に誘導する
  • 「まわし物件」は、お客様の前で「デメリットも説明してくれる営業マン」を演じるのに便利
  • 悪い物件を見なければ、良さを理解することはできない

最後まで読んで頂きありがとうございました。

この記事を見て頂いたあなたは、もう「まわし物件」の手口に騙されることはありません。

マイホーム探しは楽しいですよ!

素敵な住まいが見つかることを祈っています。

 

鹿児島 二郎

 

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