【騙されないで!】本当は怖い「未公開物件」が生まれる3つのパターン

この記事ではこんな疑問にお答えします

未公開物件ってよく聞くけど、本当にお得なの?

未公開物件にまつわる不動産業界の裏事情を教えて欲しい!

不動産の購入を検討したご経験があれば、一度は「未公開物件」という言葉をお聞き及びになったことがあるでしょう。

「限定」「特別」といったものが大好きな日本人にとって、世に出回っていないというニュアンスを含んだ「未公開物件」の響きは、大変魅力的に聞こえます。

不動産屋から、

「この物件は『未公開』ですので、今は●●様にだけお伝えしている特別な情報です。お申し込みはお早めに。。」

何て言われてしまうと、チャンスを逃さないためにと焦りを感じる方もいるでしょう。

今回は、大手仲介会社に勤める筆者が、一般消費者にはあまり知られていない「未公開物件」の実情を解説します。是非、最後までご覧ください。

そもそも未公開物件とは何か?

実は、一口に「未公開物件」といってもいくつか種類があり、その定義は一つではありません。

しかし、共通しているのは「ネットに掲載していない物件」ということです。

不動産屋に行かなければ物件の情報が分からなかった時代はとうに過ぎ、現在はSUUMOやat homeといった不動産ポータルサイトで、24時間365日、物件情報を検索できるようになりました。

写真を綺麗に撮ってネットに掲載しておけば、全国の購入検討者の目に止まることになります。

そんな時代においても、なぜ情報の出回らない「未公開物件」が存在するのか?

そこには、魑魅魍魎渦巻く不動産業界の、複雑な事情が絡んでいます。

【騙されないで!】本当は怖い「未公開物件」が生まれる3つのパターン

(1)仲介会社が売主様から売却依頼を受けた直後の物件

未公開物件」のパターン1つ目は、仲介会社が売主様から売却依頼を受けた直後である物件です。

仲介会社は、売主様から媒介契約を頂いて初めて販売活動をおこなうことができますから、SUUMOやat homeといった不動産ポータルサイトへ掲載されるまでには、媒介契約を締結してから1~2日間程度日数を要します。

鹿児島 二郎

広告掲載に、事務処理手続きや本部の承認を要する大手仲介会社だと、更にかかる場合もあります。

つまり、媒介締約を結んでからネットへ掲載されるまでの数日間であれば、その物件は「未公開物件」という扱いになるわけです。

仲介会社は売主様から売却の依頼を受けた際、買主様も自社で見つけることができれば、売主様と買主様、双方から仲介手数料を収受できますから(両手仲介といいます)、当然、自社で抱えている購入検討者様へ優先的にご紹介をします。

「両手仲介」については、以下の記事で詳しく解説をしております。

ここで登場するのが、

「この物件は『未公開』ですので、今は●●様にだけ~」

という営業トークなのです。

狭い地域や、特定のマンション限定で探している方であれば、目当ての「未公開物件」を優先的に紹介してもらえた状況というのは、一考の価値があると言えるでしょう。

しかしながら、この場合の「未公開物件」は売り出し直後のタイミングですので、売主様もまだ高く売れる期待を持っています

また、仲介会社側も売却の依頼を受けるために、相場よりも高い査定金額を提示していたり、売り出し当初は「チャレンジ価格」での販売を提案していることが考えられるため、一般的に、価格は「割高」であるケースが多いです。

不動産の売出価格については、以下の記事で詳しく解説をしております。

「価格交渉」を打診する選択肢もありますが、まだ広告掲載もおこなっていない段階で売主様が値下げの依頼を受けることは通常ありませんので、どうしても欲しい場合は、最悪言い値で購入する必要があるでしょう。

「価格交渉」については、以下の記事で詳しく解説をしております。

(2)個人の売主様が、事情があって広告の掲載を拒否している場合

2つ目は、個人の売主様が、諸般の事情から広告掲載を拒否している物件です。

ご近所との関係が悪い場合や、将来の相続争いが予想される親戚に知られることを懸念しているケースが、これに当てはまります。

また、以前不動産を売却した際、広告を見た不動産会社から、

「ウチにも販売させてください!」

などとしつこい営業をされた経験がある方も、掲載を嫌がられることがあります。

しかし、広く市場へ情報を展開した方が、多くの購入検討者の目に止まることで高く売れる可能性が上がるため、体感上、このパターンで広告掲載をおこなわないケースはまれです。

鹿児島 二郎

私自身がこうしたご相談を頂いた時も、よほど人気があって買い手候補に困らない物件でない限り、一旦はポータルサイト等への広告掲載を提案しています。

また、このパターンの売主様は多少神経質な方も多いため、相場より安い金額で売って頂くこともあまり期待できません

(1)のケースと同様、「未公開だから良い物件!」とは言えない情報と評価できます。

(3)売主不動産会社の販売戦略で、広告掲載を禁止しているケース

最後にご紹介するのは、売主不動産会社の販売戦略で、広告掲載を禁止している物件です。

鹿児島 二郎

結論として、読者の皆様が出会う「未公開物件」のほとんどは、このパターンに当てはまるはずです。

なぜ、売主である不動産会社が、自社販売物件の広告を禁止するのでしょうか?

前述したように、広く市場へ情報を展開した方が、多くの購入検討者の目に止まることで高く売れる可能性は上がるはずです。

実はここで言う「未公開物件」は、あくまで「一般消費者」の目に入るSUUMOやat-home等の不動産ポータルサイトに公開されていないだけで、不動産会社だけが閲覧できる情報システム「レインズ」には堂々と掲載されています

「レインズ」にさえ掲載しておけば、全国の不動産仲介会社が自社のお客様に紹介してくれるため、多くの購入検討者に見てもらう、という目的は達成できるわけです。

しかも、仲介会社の営業担当者は、この情報を「未公開物件」という付加価値を付けて紹介できます。

以下の記事でも解説していますが、いまだに「ネットに掲載されている情報は要りません」という「特別なお得情報」を探しているお客様は一定数いらっしゃいます。

そんなお客様の、

「少しでも得をしたい!」

という欲に付けこみ、不動産会社の社員なら誰でも入手できる、希少でも何でもない物件をさも価値のあるように見せかけて販売する手法こそが、俗にいう「未公開物件」の正体なのです。

ひどい話ではありますが、今日もどこかで「掘り出し物」を探している方が、不動産屋の口車に乗せられて「未公開物件」を購入しています。

鹿児島 二郎

誤解を恐れずに言えば、「ネットに載っている情報は要りません!」というお客様は、仲介会社の営業担当者にとって「ムカつく客」トップ3に入るくらいのわがまま顧客と認識されていますので、営業担当者によっては大した罪悪感も無く物件を買わせてしまいます。

何事も「ウマい話には裏がある」。そして、店員さん(この場合は仲介会社の営業担当者)をあまりいじめると、最終的に損をしてしまうかもしれませんので、ご注意を。。

ちなみに、この「未公開物件」で付加価値を付けるという手法は、(2)の個人の売主様には応用できません。一般消費者には見られないとはいえ、不動産会社に広く知れ渡る以上、情報を統制して欲しいという顧客意向に沿うことができないからです。

まとめ

  • 未公開物件には3つのパターンがあり、いずれもネットに掲載されていない情報
  • 仲介会社が売主様から売却依頼を受けた直後の物件は、通常価格が割高
  • 個人の売主様が諸事情あって広告の掲載を拒否している物件は、そもそも出会うことがまれ
  • 売主不動産会社の販売戦略で広告掲載を禁止しているケースは、一般消費者に公開されていないだけで希少情報ではない

ちなみに、「未公開物件だから良い物件!」とは言えませんが、「未公開物件」が全て悪い情報という意味では決してありません。中には、市場の適正価格で購入できる普通の物件もありますので、条件が合えば検討して良いでしょう。

大切なのは「ウマい話には裏がある」という、不動産業界の事情を知った上で住まい探しをおこなうことです。

安易に「未公開物件」に飛びついて後悔されることの無いよう、ご注意ください。

鹿児島 二郎

 

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