この記事ではこんな疑問を解決します
・戸建を購入する際の注意点を教えて欲しい!
・買わない方がいい戸建ってあるの?
「戸建を探しているけど、どんな物件を選べば良いのか分からない。。」
時代が変われど、人々が思い悩む永遠のテーマです。
なぜなら、買うべき戸建とは、その方の事情によって変わるものだから。
前回の記事では、「買わない方がいいマンション」について解説をさせて頂きました。
今回の記事はその戸建編です。
大手仲介会社に勤務する私が、プロの目から見た「買わない方がいい戸建」の条件を解説します。
是非、最後までご覧ください。
【宅建士が解説!】買わない方がいい戸建の特徴3選
(1)崖地に建っている戸建
1つ目は「崖地に建っている戸建」です。
一口に「崖地」といっても様々ですが、急斜面の中腹や、崖の近くに位置している戸建は、基本的におすすめできません。
理由は、単純に崖崩れや地すべりといった土砂災害に対する危険性が高いからです。
最近の事例では、熱海や、大阪の西成で崖地の住宅が倒壊の被害に遭いました。盛土の問題や擁壁(建物を支える、コンクリート製の建築物)の耐久力など、原因は色々と論じられていますが、そもそも平坦な土地であれば起こらなかった事故です。
また、擁壁については物理的な寿命がありますので、数十年前に築造されたものであれば、どこかのタイミングでやりかえをおこなう必要があります。
規模にもよりますが、やりかえの費用は数百万~一千万円程度となりますので、将来土地として売却する際は極端に売れにくい物件となるのです。
中には駅に近い、比較的資産性の高い立地もありますが、基本的には避けた方が無難です。
2つ目の理由としては、国や自治体が、住民の災害危険区域からの移動を推進していることが上げられます。
2020年6月に「都市再生特別措置法」が改正され、国土交通省によって「災害ハザードエリアからの移転促進のための特例措置」が創設されました。
この特例措置では、災害ハザードエリア(災害レッドゾーン、浸水ハザードエリア等)から安全な区域への移転を促進するため、施設又は住宅を移転する場合、移転先として取得する土地建物に係る登録免許制や不動産取得税を優遇する旨が定められています。
こうした政策的な背景からも、災害の危険性が高い土地は、今後資産価値が下落することが予想されるため、購入することは避けた方が良いでしょう。
鹿児島 二郎
(2)雨漏りの履歴がある戸建
2つ目は「雨漏りの履歴がある戸建」です。
「雨漏りがあるなら修理すればいいのでは?」
と思われるかもしれませんが、事はそう単純ではありません。
実は雨漏りの原因となっている箇所を特定することは非常に難しく、専門家が一日かけて調査をしても分からないことがあるくらいです。
調査の際は、雨漏りの状況から雨水の侵入箇所とおぼしき屋根や外壁の一部に水を噴射し、水がどういったルートを通って建物内に侵入しているのかを特定する必要があります。
しかも、原因となっている箇所は一か所とは限らないため、一つ修理をしたらまた調査、修理、、などといったこともあり得るわけです。
私自身の経験で言うと、雨漏りの履歴がある戸建をお客様におすすめしないことは勿論ですが、そういった戸建の売却について売主様からご相談を受けた際は、土地として販売することを提案します。
新たな買主が入居し、案の定雨漏りが発生した場合、大きなトラブルに発展する可能性があるからです。
現実的に売主から告知されない限り、雨漏りの履歴がある戸建を正確に見分けることは難しいですが、雨漏りのしている建物は、天井の角等に特徴的なシミがある場合があります。
特に、築年数の古い戸建の購入を検討する際は内見時によく確認すると共に、不動産会社の担当者に、売主様へのヒアリングを依頼しましょう。
鹿児島 二郎
(3)接道幅員が2mギリギリの戸建
最後の3つ目は「接道幅員が2mギリギリの戸建」です。
建築基準法では建物を建築する際、幅員4m以上の道路に2m以上接している必要があると定められています。
この道路に接している部分の長さを「接道幅員」といい、「接道幅員」が2mに満たない物件は「再建築不可」物件として、新たに建物を建築することができないのです。
SUUMOやat-homeで物件を検索した際、周辺の物件よりも明らかに安い戸建を見つけたことは無いでしょうか?よく見ると、こうした物件は概要に「再建築不可」等と記載されていることが多いはずです。
再建築不可の物件は周辺の相場よりも割安に取得できるため、認識した上で取得するのであれば高利回りの投資用物件となる可能性があり、再建築不可のみを狙って取得する投資家もいます。
鹿児島 二郎
しかし、ここで注意しなければならないのは、「接道幅員」が2mギリギリの物件は、一応再建築が可能な物件として販売されていることです。
成形地に比べれば多少は安いかもしれませんが、明確な再建築不可物件ほど価格へのインパクトは強くありません。
仮に、
「図面上、幅員が2mあるので再建築できます!」
という不動産会社の言葉を信じて購入し、実際に測ってみたら1.9mだった、、等ということがあると目も当てられません。
また、自分自身で計測し、2m接道していたとしても油断は禁物です。計測した部分が「本当に隣地との境界かどうか」という保証はありません。
「実は自分の土地だと思っていたところの一部が隣の家の人の土地だった!!」
ということが判明すると、2mの接道義務を満たせなくなる可能性があります。
これを防ぐためには、専門の土地家屋調査士や測量士に依頼し、隣地所有者立ち合いの下、境界を確定して書面に記名・押印する「境界画定」をおこなう必要があります。
もし、接道幅員が狭い物件の購入を検討する場合は、将来的に「再建築不可」物件になってしまわないか、十分に注意をしてください。
鹿児島 二郎
まとめ
- 「崖地に建っている戸建」は災害の危険があり、今後の資産価値維持も難しい
- 「雨漏りの履歴がある戸建」を修理することは簡単ではない
- 「接道幅員が2mギリギリの戸建」は、将来「再建築不可」となる可能性がある
土地・戸建はマンションに比べて個別性が高く、専門知識の無い状態で購入すると、思わぬトラブルに巻き込まれる可能性があります。
自分自身が危険性の高い物件を避ける努力をすると共に、購入の際は信頼できる不動産会社の担当者に依頼しましょう。
鹿児島 二郎