ネットに載っていない「掘り出し物」はあるのか?【不動産業界の裏側教えます】

この記事ではこんなお悩みを解決します
・欲しい物件が見つからない!いったいどうすれば見つかるの?
・不動産屋が「掘り出し物」を紹介してくれない!情報を隠しているのか!?

不動産営業をしていると、年に何回かはこんなご要望を仰るお客様に出会います。

「ネットに載っている情報は要りません!!」

「『掘り出し物』を紹介してください!!!」

誰もが一度は夢見る、相場よりも圧倒的に安い「掘り出し物」物件。

果たして、そうした物件は存在するのでしょうか?

ネットに載っていない「掘り出し物」はあるのか?【不動産業界の裏側教えます】

結論として、不動産に「掘り出し物」は存在しません

鹿児島 二郎

近しい物件があっても、まず個人の消費者には回ってきません。

結論を見てブラウザバックをしようとした読者の方、ちょっとお待ちください。

良い家を購入するためには、「事実を冷静に見極める」ことが大切です。

悪徳不動産会社の、

「〇〇様だけにご紹介する特別な情報です!」

などという謳い文句にみすみす騙されないためにも、以下にご説明する不動産マーケットの仕組みをご覧ください。

そもそも「掘り出し物」とは何か?

多くの方が考える「掘り出し物」とは、「相場より安く」「欠点の無い」物件でしょう。

再建築が出来なかったり、室内で誰かが亡くなっている(所謂「事故物件」)ような物件は明確な「欠点」があり、「掘り出し物」とは呼ばれません。

欠点のある物件の注意点については、以下の記事で詳しく解説をしております。

「掘り出し物」が存在するかは、そうした物件が市場に出て来る事情を考えてみると理解できます。

お金が無く「売り急いでいる」人がいるのでは?

「掘り出し物」を探す方の多くが仰るのは、

「売り急いでいる人からなら安く買えるはず!」

という考え方です。

実際、何らかの事情で売り急いでいる方は一定数存在しますし、そうした意味でこの考え方には説得力があります。

しかし、そうした物件が個人の方に回ってくるかは別問題です。

「売り急いでいる」方の気持ちを考えてみる

買い換え先の資金が足りない、、事業に失敗した、、理由は様々ですが、わざわざ相場よりも安い価格で売りに出す方が要望されるのは、「早く」「確実に」所有物件を現金化することです。

要するに、売却で得たお金を使う当てがあるという事情があるため、相場より多少安い金額でも妥協するという判断に至ります。

この「確実に」というのがポイントで、個人の方に情報が回ってこない理由となります。

早期売却の必要がある物件は、「不動産買取業者」の手に渡る

「不動産買取業者」とは、主に仲介会社経由で個人の方が持つ不動産を買取り、建物建築、土地造成、リフォーム等の付加価値を付けて販売するプロの不動産業者です。

個人の売主様から早期売却の相談を受けた仲介会社は、ほとんどのケースで不動産買取業者への売却を斡旋し、個人の方の目に触れることなく取引が行われます。

こう聞くと、

「良い情報を隠しているのは悪だ!」

という具合に、不動産業界の闇の部分を連想されるかもしれませんが、事はそう単純ではありません。

なぜなら、不動産買取業者への売却は、前述した「早く」「確実に」売りたいという顧客意向を満たすことにつながるからです。

「確実に」売りたい方が、個人の方と取引をするリスク

(1)住宅ローンの審査に時間がかかる

個人の方が不動産を購入する場合は、住宅ローンを利用するケースが多くなります。

金融機関や、買主様の属性にもよりますが、一般に事前審査で2~7日、本審査で7~14日ほどの審査期間を要します。今すぐに現金が欲しい売主様にとって、この時間的ロスは明らかなマイナスです

また、審査がうまく通ればまだ良いですが、当然落ちることもあります。住宅ローンの審査に落ちた場合は売買契約が白紙解約となりますので、半月程度の時間を無駄に浪費してしまうリスクがあるのです。

この点、不動産買取業者は即現金で支払いを行ってくれますので、「早く」現金化したいという顧客意向を満たします。

(2)買主の気が変わる

不動産は大きな買い物。一度購入申込をしたものの、不安になってキャンセルをすることはザラにあります。

キャンセルしても仲介会社の担当に嫌な顔をされるくらいで済みますので、売買契約さえまだであればノーリスクです。

鹿児島 二郎

私も何度か経験がありますが、キャンセルされてしまうとすごくガッカリします(´;ω;`)

しかし、不動産買取業者の場合はそうはいきません。彼らにとって仲介会社は、仕入れを行う上で重要な継続取引先であり、キャンセルなどしようものなら次の紹介はありません。買取業者も厳しい競争の中で営業しているのです。

鹿児島 二郎

私の勤める仲介会社でキャンセルした買取業者が1社だけいましたが、以後、その店舗には出禁になりました。

こうした事情は、「確実に」売りたいという顧客意向に添うことにつながります。

(3)引き渡し後にトラブルが生じる

不動産はトラブル産業と言われており、引き渡し後に雨漏りや水漏れが見つかるといった問題が後を絶ちません。

不動産の売主には「契約不適合責任」というものがあり、トラブルが生じた場合は損害を買主に対して賠償しなければなりません。

ただでさえお金に困っている売主様にとって、こうしたトラブルは正に泣きっ面に蜂。仮に買主から訴訟でも起こされると目も当てられません。

不動産買取業者への売却であれば、多くの場合「契約不適合責任」は免責となります。つまり、取引後に金銭トラブルが生じないことは、結果として「確実」な現金化を達成する要素の一つとなる訳です。

鹿児島 二郎

安く売らざるを得ない物件を一般消費者に紹介することはありません。これも全て売主様のためです。

まとめ

  • 不動産に「掘り出し物」はない
  • 売り急いでいる物件があっても、「住宅ローン審査」「購入意思の確度」「契約不適合責任」等の理由から、個人の消費者には回ってこない

世の中、そうそう「うまい話」はありません。

夢の「掘り出し物」を探すのは今日で終わりにしましょう。

鹿児島二郎

 

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