この記事ではこんな疑問にお答えします
・不動産の価格交渉をする際のコツってないの?
・価格交渉の際、やってはいけないことがあれば教えて欲しい!
前回の記事で、一般的に「価格交渉」がしやすい物件の特徴について解説をしました。
価格交渉をおこなう際には、物件を見極めることもそうですが、仲介会社の担当者に伝えるべき「交渉のコツ」といったものも存在します。
今回は、交渉を成功に導くためのテクニックについて、大手不動産会社に務める私の経験を交えつつ、解説をします。
鹿児島 二郎
目次
重要なのは「売主様の気分を害さないこと」
不動産の取引に限らず、人間が交渉に望む際は、2つの判断基準が存在します。
若干、心理学のような切り口になりますが、その判断基準とは「理論」と「感情」です。
価格交渉を有利に進めるためには、この2つを突破口として売主様の気持ちを動かすことが必要になります。
以下、一つずつ詳細の解説をおこないます。
「価格交渉」を成功させる!現役不動産営業マンが3つのコツを解説!
(1)物件の悪口を言わない
一つ目は、「物件の悪口を言わない」ことです。
これは非常によくあるパターンなのですが、最初から価格交渉をするつもりで、内見の際、物件のあちこちにケチを付けるお客様がいらっしゃいます。
「床や壁は張り替えないとダメだなぁ。。」
「水回りがすいぶん汚れていますね!」
「古いからこんなもんなのかな(笑)」
居住中で、売主様が内見に立ち会っているにも関わらず、わざと聞こえるように欠点を指摘するわけです。
内見が終わると、
「こういう欠点があるから価格交渉してくれ!売主も分かっているだろう!」
などと言って、さも当然という顔で仲介会社の担当者に価格交渉を依頼します。
それを聞いた売主様の判断は、、
ここまで読んで頂ければお分かりの通り、単純にとっても気分が悪いわけです。
たとえ、価格交渉の金額が相場に即したものであったとしても、
「この人には売りたくありません!!!」
と感情の部分で拒否されてしまいます。
売主様は、自分が愛し、大切に住んだ家を、同じように大切に使ってくれる方に譲りたいと思っています。
内見の際は売主様とにこやかに会話を交わし、良い部分があったら褒めてあげるくらいのパフォーマンスが必要です。
鹿児島 二郎
(2)他の物件と迷っていることを伝える
2つ目のコツは、「他の物件と迷っていることを伝える」ことです。
買主側が、
「この物件を他の人に買われてしまったらどうしよう。。」
と不安を感じるのと同じように、売主も買ってくれそうな方からお話があると、
「この前内見に来てくれたあの人、他の物件を買ってしまうんじゃないかな。。」
と不安を覚えます。それを逆手に取るわけです。
比較対象とする物件は売主がイメージしやすいよう、同じマンション内の更に広い、安いお部屋や、近隣のライバル物件が良いでしょう。
「こちらの物件はほぼ同じ条件で100万円安いので、同じ金額になるなら購入したい」
といった理由を伝え、「理論」の部分で売主の気持ち揺さぶるのです。
また、これは高等テクニックですが、その物件の内見を手配してくれた仲介会社とは別の仲介会社から紹介された物件があれば、それを比較対象として伝えるのも有効です。
仲介会社の担当者からすれば、せっかく盛り上がりかけているお客様を競合他社に持っていかれることは何としてでも避けたいため、売主様に強気で交渉してくれる可能性が高まります。
鹿児島 二郎
(3)予算の上限を伝える
最後は、予算の上限を伝えることです。
比較対象の物件を探しても、内見した物件よりも魅力的な物件が無いのであれば、販売価格は相場通りである可能性が高いです。この場合、「理論」で売主の気持ちを動かすことは難しいでしょう。
ではどうするかというと、
「すごく気に入っているが、あいにく予算が3,000万円しかない。3,000万円に値下げしてくれるのなら是非買わせて頂きたい」
と伝えます。
鹿児島 二郎
ここで、(1)でご紹介した「物件の悪口を言わない」というコツが効果を発揮します。
「相違より安くなってしまうかもしれないが、あの好印象で礼儀正しい方がそこまで気に入ってくれているのであれば。。」
売主様が優しい方であれば、価格交渉の成功率はアップします。
また、この方法は完全に「感情」に訴えかけるものですので、建物を取り壊して新築する場合よりは、修繕・リフォームしてそのまま使い続けたい、という購入理由の方が、売主様の心証は良くなります。
ちなみに、価格交渉が失敗に終わり、満額でも欲しいという場合の対処方法ですが、
「親が資金を援助してくれることになった」
「勤めている会社で昇進が決まった」
などと言って、購入金額を引き上げれば大丈夫です。
よほど変わった売主様でなければ、金額が買い上がったことを素直に喜んでくれるでしょう。
まとめ
- 価格交渉は「理論」と「感情」で売主様の気持ちを動かす
- 内見の際は、物件の悪口を言わない(むしろ褒める)
- 他の物件と迷っていることを伝え、理論的に交渉する
- 最後は予算上限を伝えて情に訴えかける
必ず成功するという保証はありませんが、売主様の気分を害さずに交渉を進めるためのコツをご紹介しました。
不動産売買の売主と買主になるというのも何かの縁。一生に数回しかない取引を、お互い気持ちよく終えられるよう、心掛けたいものです。
鹿児島 二郎