不動産一括査定サイトの利用は優れた選択か?【不動産会社社員が解説】

この記事はこんな方におすすめです

・これから不動産を売却するつもりで、不動産会社を探している

・一括査定サイトの有効な使い方を知りたい。

一括査定サイト」とは、査定をしたい物件の情報を登録すると、3~6社程度の不動産会社から査定書が届き、それぞれを比較検討できるという便利なサービスです。

実際に一括査定サイトのページを見てみると、

「他社よりも●●万円高い見積もりが出た!」

「厳選された信頼できる優良不動産会社に依頼!」

「簡単!無料!」

などという素敵な言葉が所狭しと並んでいます。

実際、一括査定サイトが不動産売却の際によく利用されていることは間違いなく、業界でも一定の市民権を得ています。

そんな便利な一括査定サイト、果たして利用すべきなのでしょうか?

鹿児島 二郎

反響情報を受け取る不動産会社の立場を踏まえて解説します。

不動産一括査定サイトの利用は優れた選択か?【不動産会社社員が解説】

最初に結論をお伝えします。

使っても良いですが、大手仲介会社にはその会社のホームページ経由で依頼してはいけません。

上記の結論をご覧になって、「ん?」と思われた方がいらっしゃったとしたら、おそらく他の不動産ブログをいくつかご覧になったのでしょう。

本サイトのような不動産ブログでは、大抵の場合、

「高く売りたいならこのサイトがおすすめ!」

といった謳い文句と共に、キレイなバナー広告付きで一括査定サイトが猛プッシュされているはずです。

それもそのはず、不動産ジャンルに限らず、世の中の個人ブログというものは広告収入を得るために運営されています(所謂アフィリエイト)。

あなたが一括査定サイト経由で不動産を売却してくれれば、ブログ運営者は謝礼を貰えてとっても嬉しい(^^)

非常に単純な仕組みで、一括査定サイトへ誘導さえ出来てしまえば、読者が損しようが知ったことではないのです。

 

本サイトも多少の広告は貼っていますが、ブログ記事は私自身が自分の知識を整理するもの、という役割も兼ねておりますので、自分のお客様にお話しできないような内容は書いていません。

「一括査定サイトを使えば高く売れる!」そう思い始めたらカモの始まり

今はネットの普及で幾分か改善されて来ましたが、不動産業界はまだまだ消費者とプロの情報格差が激しい世界です。

考えて見れば当然なのですが、一生に数回しか不動産取引をおこなわない消費者が、仕事で何度も売買をおこなっているプロ相手に経験値で勝つのは不可能です。

おまけに同じ不動産は世界に一つしかありませんので、常にこうすれば良い!というマニュアルも存在しません。

働く側からすれば、そこが不動産業界の面白さでもあるのですが、消費者からすれば不安でいっぱいなのです。

「一括査定サイトを使えば高く売れる!」と思ってしまった方は、立ち止まって「なぜ?」と考えてみてください。

ポイントは、あなたの不動産の価格を決めるのは「誰なのか」という点です。

あなたの不動産の価格を決めるのは「買主様」以外にあり得ない

よく、不動産の査定価格を「見積もり」と表現する方がいらっしゃいますが、これは大きな間違いです。

「見積もり」とは、個人や法人が「この価格で何らかのサービスを提供しますよ」という意思表示のこと。

査定価格はあくまでも、「この価格で売れると思いますよ」という不動産会社の意見でしかなく、たとえその金額が他社より高かったとしても、それで売れる保証はどこにもありません。

これは買主様の立場になってみるとよくわかります。あなたが不動産を探していたとして、他の不動産に比べて明らかに駅徒歩距離や築年数といった条件が悪いのに、不動産会社が「この物件には●●万円の査定価格が付いています!」と言っているだけの不動産を購入したいでしょうか?

この時点で、一括査定サイトや素人のアフィリエイトブログに書いてある内容が誇張であることは明白です。

何事も「ウマイ話には裏がある」のです。

一括査定サイトを効果的に使うには?

散々一括査定サイトをこき下ろしておいてなんですが、一括査定サイトにも有効な使い方が存在します。

それは、あなたの不動産が所在するエリアを得意とする不動産会社を見つけること。

そもそも一括査定サイトが無料で運営できるのは、査定情報を受け取る不動産仲介会社が、運営会社に査定1件につき8,000円~20,000円程度のコストを支払っているからです。

不動産仲介会社は一括査定サイトの利用を申し込む際、反響を受け取る物件の所在地や、戸建・マンション等の物件種別、場合によっては面積等を指定することができます。

すなわち、一括査定サイト上で物件情報を入力した後に査定依頼先の候補として表示された会社は、あなたの不動産の媒介契約を是非欲しいと考えているやる気のある会社です。

やる気の無い会社に査定依頼をするのは時間の無駄ですので、特に売却が得意かどうか分からない地元密着型の不動産仲介会社に査定を依頼する場合は、一括査定サイトを利用するのが無難でしょう。

しかし、一括査定サイト上で査定依頼先を選択する際には、一つ重要な注意点があります。

一括査定サイトから大手に売却依頼をしてはいけない

冒頭の結論でも申し上げましたが、一括査定サイトから大手に売却依頼をするのはおすすめできません。

その理由を解説するためには、大手不動産仲介会社のビジネスモデルに触れる必要があります。

以下の記事で詳しく解説していますが、大手不動産仲介会社には、日々多くの売却依頼情報が舞い込みます。

「売却の依頼先は「営業担当者」で選ぶべき」

大量の売却依頼情報を集めることができるのは知名度もありますが、その本質は企業規模に物を言わせた組織力です。

親会社やグループ会社から「紹介」という形で有望な情報が連携される大手は、必然的に顧客を選べる立場にあります。

この辺りの事情はまた改めて記事を作成して詳しく解説するつもりですが、大手における売却依頼顧客の優先順位は、基本的に以下のようになります。

  1. 親会社やグループ会社からの紹介情報
    ⇒ベテランやエース級社員(場合によっては管理職)が対応
  2. 自社ホームページからの反響情報
    ⇒中堅や若手のホープが対応
  3. 一括査定サイトからの情報
    ⇒新人やダメ営業マンが対応

一括査定サイトから依頼をしたが最後、あなたは大手にとって最下層の顧客として接客を開始されます。

そして担当してくれるのは、近隣店舗の中でビリから2番目か、最下位の営業マンです。

まともに対応してくれればまだマシで、ひどい場合は一回電話して出なければ、「見込み無し」として二度と連絡が来ることはありません(嘘みたいな話ですが、私の勤務する会社で実際にあった事例です。しかも一度ではなく何度も。。)。

一括査定サイトからの反響は、接客開始時の段階で多数の競合が存在するため、ブランド力のある大手でも実際に売却依頼を受けられるのは5~10%程度というのが私の経験則です。

以外に低いと思われるかもしれませんが、一括査定サイトの運営側はユーザーに査定依頼さえさせてしまえば仲介会社から反響課金として料金を受け取れるため、「価格が知りたいだけ」というような売る気のない方でも大量に集客するのです。

そのため大手の営業マンの中には、一括査定サイト経由の情報を「ゴミ情報」と呼ぶ人もいるくらいです。

この点、自社ホームページからの反響は、その会社を指名しているという背景から、系列会社のOBやファンであるお客様も多く、会社によって差はあると思いますが、概ね20%くらいは実際に売却依頼を受けることができるイメージですので、対応の優先順位は高くなります。

わざわざ一括査定サイトを経由してダメな営業マンを引き当てるメリットはありませんので、大手に査定依頼をする際は、多少面倒でも自社ホームページから依頼をおこないましょう。

地元密着型の仲介会社であれば、一括査定サイトから依頼してもOK

この点、地元密着型の仲介会社は売却情報が少ないため、一括査定サイト経由の依頼でも真剣に対応してくれるはずです。

1件8,000円~20,000円という料金は、大手にとっては小銭程度でも小さい不動産会社にとっては大きな経費。中途半端な対応は許されません。

なお、先ほど一括査定サイトを効果的に使う方法として、売却が得意かどうかを見極めるというお話しをしましたが、大手はその特性上、基本的に売却は得意です。

エリアに関しても、売却依頼を受けたいエリアというのはどの大手も概ね共通していますので、あまりこだわらなくても良いでしょう。

確実に得意エリアを把握する方法としては、一括査定サイト上で依頼候補の不動産会社が表示された際に、地元密着型の不動産会社のみを1~2社選択してそのまま依頼。同じ画面に表示されていた大手は、後から自社ホームページを検索して1~2社査定依頼をおこなうようにすると、所有不動産の売却を得意とする大手、地元密着型、両方の不動産会社に査定を依頼できます。

まとめ

  • アフィリエイトブログが一括査定サイトの利用を勧めるのは、消費者のためではなく自分のため
  • 査定価格が高くても、その価格で売れる保証はない
  • 不動産仲介会社の得意エリアを調べるために一括査定を使うことは有効
  • 大手仲介会社は一括査定サイト経由で査定依頼をしてはいけない(地元密着型はOK)

インターネットは情報収集の手段として非常に便利なツールですが、内容を鵜呑みにするのは危険です。

自分の頭で考える習慣をつけることが、満足のいく不動産取引への近道です。

鹿児島二郎

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA