この記事ではこんな疑問にお答えします
・囲い込みについて詳しく教えて欲しい。
・囲い込みを防ぐ方法を知りたい!
不動産業界の悪習として、物件の「囲い込み」という行為が問題視されています。
これは、不動産屋が物件を仲介する際、売主様と買主様の両方を自社でお手伝いすると、「両手仲介」として双方から仲介手数料を収受できることを理由に、他社のお客様を取引から排除しようとして発生する行為です。
「両手仲介」については、以下の記事でも詳しく解説をしております。
今回は、不動産業界における「囲い込み」の仕組みと、消費者の立場でそれを防止する方法について解説します。
目次
不動産業界の「囲い込み」とは?防ぐ方法はあるのか?
売主様から物件の売却を依頼された不動産会社は、物件情報をSUUMOやat-homeなどの不動産ポータルサイトや、不動産会社間の共通情報システムである「レインズ」に登録します。
売主様からの依頼が「専任媒介」や「専属専任媒介」であった場合は、法律でこの「レインズ」への登録が義務付けられているため、これによって全国の不動産会社がレインズの情報を閲覧できるのです。
媒介契約の種類については、以下の記事でも詳しく解説をしております。
前述の「レインズ」に物件を登録する仕組みによって、直接売主様から売却の依頼を受けていない不動産会社であっても、全国の不動産情報を自社のお客様に紹介することが可能です。
お客様が物件に興味を示せば、売主様の窓口である売側の仲介会社に内見等の手配を依頼し、双方の条件が合致すると、それぞれの仲介会社が協力して売買契約の締結に向けた準備を進めることになります。
「囲い込み」とは、この買主様側の仲介会社が物件を自社の顧客へ紹介する流れの中で、売主様側の仲介会社が、取引が進むことを妨害する行為を言います。
具体的には、買側仲介から販売状況に関する問い合わせ(業界用語で「物件確認」といいます)があった際に、
「担当者が外出中なので。。」
と嘘を付いて返答をしなかったり、内見の依頼があった際、
「売主様が旅行中で都合が合わない」
などと言って現地見学の手配を断る、といったものです。
鹿児島 二郎
ひと昔前であれば、こうした「囲い込み」は大手仲介会社を中心に日常的におこなわれていましたが、最近はこうした行為が明るみに出たことによって世間からの目が厳しくなっています。
また、売主様が「レインズ」を直接見て自分の物件が掲載されているかを確認できるようになる等の仕組みが整備された影響で、「囲い込み」を見聞きすることは少なくなっている印象です。
しかし、全くないかと言われると、いまだにこうした「囲い込み」行為がおこなわれている事実は否めません。
不動産の売却で不利益を被らないためには、「囲い込み」の特徴を知った上で、できる限りの対策を打つ必要があります。
不動産屋に本気で「囲い込み」をされたら防ぐことは難しい
対策を打つ必要があると書いた手前、こういったことを申し上げるのは心苦しいのですが、もし不動産屋が本気で「囲い込み」をしてきた場合、完全に防ぐことは難しいです。
「担当者が外出中」などという口上も、本当にそうである可能性もあるため、買主側の仲介からこれを咎める手段も、現実的にはありません。
しかし、もし自分が売主の立場で不動産屋に「囲い込み」をされてしまったら、良い条件で購入してくれたかもしれない買主を逃してしまうことになります。
次項にて、売主様が不動産屋の「囲い込み」をけん制する方法についてご説明します。
不動産会社の「囲い込み」を防ぐ方法
(1)営業担当者に「囲い込みってあるんですか?」と聞く
1つ目は、不動産会社と媒介契約を締結する際、営業担当者に「囲い込み」の存在について無邪気に質問しておくことです。
悪徳な不動産屋の手法というものは、人の好い、無知な方を騙して損をさせるのがお決まりのパターンですので、
「私は囲い込みという言葉を知っていますよ」
ということを最初に伝えておくだけでも、
「このお客様は全てこちらの言いなりにはなってくれそうもないな。。」
という印象を与えることができます。
鹿児島 二郎
(2)専任媒介を任せる期限を示す
2つ目は、営業担当者に、専任媒介を任せる期限を示すことです。
例えばですが、
「3か月以内に売れなかった場合は、他の仲介会社への切り替えも考えている」
などと伝えればOKです。
営業担当者にとって「専任媒介」を打ち切られてしまうということは、ほぼほぼ確実に入ってくるであろう売主様からの仲介手数料をみすみす逃してしまうことにつながりますので、何としてでも避けたいものです。
媒介の期限を伝えることで、
「専任媒介を切られてしまうくらいなら、分かれ(片手仲介。この場合は、買主様側に他の仲介会社が介在すること)でも良いから契約してしまおう。。」
という思考になることが考えられますので、「囲い込み」を受ける可能性は低くなります。
なお、専任媒介の期限を伝える副作用として、営業担当者から、
「専任媒介を切られる前に価格を下げてもらって成約させよう!」
という理由から価格変更を提案される可能性がありますが、販売開始から1か月以上経過しており、客観的に見て相場よりも高いのであれば、価格については変更することをおすすめします。
この場合、不動産会社側も成約に導くための提案をしていると考えられますし、任せる不動産会社を変えたところで、相場よりも高い物件が成約になる可能性は低いからです。
まとめ
- 「囲い込み」とは、内見等の紹介活動を打診する買主様側の仲介会社を、売主様側の仲介会社が不当に妨害する行為のこと
- 不動産屋に本気で「囲い込み」をされたら防ぐことは難しい
- 「囲い込み」を防ぐためには、営業担当者に「囲い込みってあるんですか?」と聞く
- 専任媒介を任せる期限を示すことも有効
最近は「囲い込み」の行為自体も減っており、お客様目線の営業活動を心掛ける気運も広がっています。
警戒し過ぎる必要はありませんが、「おかしいな。。」と思うようなことがあれば、本記事でご紹介した不動産業界の仕組みを思い出してください。
鹿児島 二郎