「マイホームパパに優しい街探訪記」とは?
嫁のためでも、子供のためでもなく、「働くお父さん」の視点で街の住みやすさを解説する。そんなコンテンツである。
総合おすすめ度:2.8 / 5.0
- 交通利便性 ★★★★★
- 住居費のコスパ ★★★☆☆
- 1人飯スポット ★★☆☆☆
- 娯楽 ★★☆☆☆
- ステータス ★★☆☆☆
目次
「二子新地駅」の住みやすさ ~対岸との格差に苦悶する二子玉川の川向こう~
「二子新地駅」は、東急田園都市線の各駅停車駅。
対岸との格差に苦悶する、二子玉川の川向こうである。
住みやすい(住みたい)ところ
- オシャレタウン「二子玉川」まで1駅1分。何なら徒歩でも行ける。
- 夜間に人が集まるような繁華街はないため、比較的治安が良い。
- 地価が大きく伸長しており、将来性有。
住みにくい(住みたくない)ところ
- 生活の中で、隣駅である「二子玉川駅」との格差を味わい続けることになる。
- 街の雰囲気は下町っぽい。富裕層(お金持ち)が好む高級住宅街のイメージはなし。
- 多摩川沿いのため、万一氾濫した場合は水害に晒される可能性高し。
参考:神奈川県警HP「刑法犯 罪名別 市区町村別 認知件数」
参考:川崎市HP「洪水浸水想定区域 (多摩川水系)」
交通利便性(★★★★★)
主要駅へのアクセス
- 東京駅:41分(乗り換え1回)
- 新宿駅:31分(乗り換え1回)
- 渋谷駅:20分(乗り換え無し)
- 二子玉川:1分(乗り換え無し)
- 横浜駅:36分(乗り換え2回)
※平日の午前08:30に目的駅へ到着する際の時間を算出
出典:ジョルダン
「二子新地駅」の交通利便性は良好。
県境の街という立地から、東京都心へのアクセスの良さは県内でも屈指だ。
最大の特徴は、隣駅である「二子玉川駅」までの近さ。徒歩でも10分程度で行ける距離であるため、神奈川県に住みながら東京の便利さを享受することが可能。
なお、二子玉川駅と溝の口駅の間には田園都市線の他に「東急大井町線」が走っているが、この路線はなぜか「二子新地駅」と「高津駅」には停まらない。休日に出かけて電車で帰るつもりなら、念のため注意しよう。
住居費のコスパ(★★★☆☆)
二子新地駅(ふたこしんちえき)の現在の地価は、公示地価の平均値が48万8000円/m2(2023年[令和5年])、坪単価は161万3223円/坪であり、変動率は+3.50%の上昇です。
川崎市高津区の最新公示地価は平均38万7696円/m2(2023年[令和5年])、坪単価では平均128万1642円/坪です。前年からの変動率は+2.64%です。
※上記は「土地代データ」の「二子新地」「川崎市高津区」のページより引用
2023年の公示地価に基づく二子新地駅周辺の平均坪単価は161万3223円。
川崎市高津区全体の平均坪単価128万1642円と比べると、2.5割ほど高い。
前年からの変動率は+3.50%であり、好調な区内平均をも凌駕する好調な伸びを示している。
川崎市高津区は、東急田園都市線とJR南武線を沿線とするエリア。二子新地駅はその中で、両路線が交差する「溝の口(武蔵溝ノ口)駅」に次ぐ地価水準を誇っている。
区内平均との価格差が比較的大きいのは、ブランド力に劣るJR南武線沿線の地域や、駅から遠いバス便のエリアが全体の足を引っ張っていることが要因。東京都との県境に位置し、オシャレタウン「二子玉川」へ徒歩でアクセスできる二子新地駅が相対的に注目されても、それほど不思議ではない。
高い上昇率が示す通り将来性にも期待が持てるため、コスパを懸念して購入をためらう必要はないだろう。
1人飯スポット(★★☆☆☆)
二子新地駅の周辺は、二子玉川に近いという環境からか、女子向けのお洒落カフェがいくつか営業している。
サラリーマン向けのお店は少ないため、外食環境はあまり期待しない方が良い。
改札の目の前で営業する「珈琲館 二子新地駅店」。
駅周辺のカフェの中では、比較的おじさんにも入りやすそうな佇まい。
駅前の商店街「二子新地駅前通り松栄会」沿いに、素朴な感じの飲食店が何軒かある。画像は駅徒歩1分の立地にある「らぁ麺 みうら」のもの。
同じく商店街沿いにある「油や 鹿鳴」。名前の通り、油そばのお店のようだ。
牛さんの看板が目に付く「ステーキ&ハンバーグBambu」。
ガッツリ食べたい時におすすめ。
チェーン店なら「れんげ食堂Toshu 」と「キッチンオリジン」がある。
実に安心感のある見慣れた雰囲気。おこづかいがピンチの時も頼りになるお店だ。
娯楽(★★☆☆☆)
二子新地駅は、駅徒歩5分の場所に「川崎市多摩川緑地バーベキュー広場」がある。
これだけ駅近のバーベキュー広場は珍しいので、車を持っていない人にも嬉しい立地だ。
必要な機材は一通りレンタルしてくれるので、駅前のスーパーで食材さえ買っていけば手軽に利用できる。
上記以外の娯楽についてだが、残念ながらほぼほぼ何も無いといっていい。
都会的な娯楽施設を訪れたい時は、おとなしく多摩川を渡って二子玉川まで行くべし。
ステータス(★★☆☆☆)
神奈川県民「え!?二子玉川?おしゃれですね!!」
東京都民「二子?あ、新地の方ですか。。(笑)」
二子玉川住民「私は二子玉川に住んでいます(●´ิ∀´ิ●)ドヤァァァアアアイ!!!!!」
世間における二子新地の印象は、残念ながら「二子玉川の下位互換」以外の何物でもない。
神奈川県内では十分高級寄りのエリアであるにもかかわらず、常にこの不名誉なレッテル貼りを受けるため、はっきり言ってステータス重視の方にはとてもじゃないけどおすすめできない。
対岸ににそびえるタワーマンションを忌々し気に見つめ、悔しさにこぶしを握り締める。。
そんな内なる想いを胸に秘め、今日も川向こうの東京へ元気に出勤する二子新地のサラリーマン達に幸あれ。
「二子新地駅」探訪
(※探訪内容は2022年5月現在の情報)
どんよりとした曇り空が広がる土曜日の昼下がり、「二子新地駅」で下車。
東側改札を出てすぐの場所から、商店の立ち並ぶ下町チックな空気が辺りを包む。
駅前の商店街、「二子新地駅前通り松栄会」を南東側に進む。
商店街沿いは飲食店の他、お魚屋さんやお煎餅屋さん等が営業しており、なんともレトロな雰囲気だ。
順調に先へ進んで行くと、道の傍らに立つ看板が目に入った。
これはかつてこの地にあった「諏訪一本松」の存在を記したもの。商店街の名前である「松栄会」は、この松に由来するものらしい。
商店街を離れ、駅南東側の住宅街を探訪。
所々道が曲がりくねっており、若干ゴチャついている印象。住宅街には公園もあったが、たまたまなのか、遊ぶ子供の姿は見られなかった。
東側の探訪を済ませ、今度は駅の西側へ。
こちらは線路の高架下へ続く改札口となっており、改札脇には申し訳程度のベンチ、目の前には駐輪場と、無機質な空間が広がっていた。
改札にほど近い、西側住宅街の様子。正直、東側以上にゴチャゴチャとしている。
最高の立地なのにこの未整備感丸出しの雰囲気は、実にもったいないと言わざるを得ない。
迷路のような住宅街を脱出し、一度駅前に戻る。
二子新地駅入口の交差点には、水害の脅威を喚起する、避難所への案内看板が立っていた。
想定浸水深2.8m。。多摩川が決壊した時はまず水没するので、この街に住むならどこに逃げるかを予め決めておこう。
駅西側の商店街「二子大通り昭和会」を南西側に進む。
こちらは道路が広く整っており、多少は都会的な街並みだ。
進む途中で出会った、大山街道沿いに佇む「二子神社」の鳥居。
奥に進むと神社の境内がある。例によって、この記事が多くの方の目に触れることをそっとお祈りする。
神社の境内脇にある謎のモニュメント「岡本かの子文学碑“誇り”」。
これはかの有名な岡本太郎が、父母の愛したこの地を懐かしんで製作した作品とのこと。
ちなみに、この時写真を撮っていたのは筆者だけ。大きなお世話だが、もう少し目立つ場所に設置すれば良かったのに、とも思う。
商店街沿いの道を離れて駅の北西側に進むと、ファミリー向けの大規模マンションがいくつか建っていた。
もっと駅近の場所にもこういった物件が増えると魅力も上がるだろうに、なんとも惜しい街だ。
更に歩を進め、幹線道路「国道246号線」沿いに差し掛かる。
ここから北へ少し進めば、多摩川の河川敷までもうすぐだ。
多摩川にかかる二子橋の近くから眺める河川敷の様子。
川沿いにはランニングコースも整備されていて、走っている人と何人かすれ違った。
多摩川沿いの自然を身近に感じられるのが、この街に住む最大の醍醐味だ。
河川敷沿いを通って駅方面へ。
川向こうにそびえ立つ、二子玉川のタワーマンション群を苦々し気に見つめつつ、帰宅する。
交通利便性の良さと、リバーサイドの解放感が魅力の街、「二子新地」。
対岸の再開発から取り残され、正直「二子玉川に住めない人が集う場所」という印象だったが、新地には新地の良さ、魅力があることを感じる探訪だった。
川沿いに住みたいが、人ごみやお洒落すぎる街並みが苦手な人は、二子新地への移住を検討してみると良いかもしれない。