この記事はこんな方におすすめです
・不動産仲介営業に興味がある。
・就職・転職する前に業界の実情を知っておきたい!
「不動産仲介営業」
この言葉を聞いて、皆さんは何を想像されるでしょうか?
「毎日パワハラされてそう」
「金遣いが荒らそう」
「興味はあるけど就職して良いのか不安。。」
おおよそ、このような印象を持っているのではないでしょうか?
私が実際に不動産仲介営業として勤めていて思うのは、この業界は悪いところばかりがクローズアップされて、魅力や楽しさに関する情報を見ることが少ないということです。
また、前述したネガティブなイメージに関しても、具体的にどういった辛さがあるのはあまり知られていません。
今回は読者の皆様に、不動産仲介営業マンとして働く私の経験を基にした、ここでしか知ることのできない(かもしれない)情報をお届けします。
是非、最後までご覧ください。
不動産仲介営業に向いている人の特徴を知りたい方は、以下の記事も併せてご覧ください。
目次
不動産仲介営業の良いところ
(1)売上が上がっていれば、仕事の進め方は基本自由
不動産業界に足を踏み入れたことのある方は一度は聞いたことがあるであろう言葉に、「数字が人格」というものがあります。
どんなに素晴らしい考えを持っていようが、会社に対して的確な提案をしようが、「数字が上がっていないやつ」に発言権はありませんし、上司や同僚も聞く耳を持ちません。
「言いたいことがあるなら稼いでから言え!」
というのが不動産業界における暗黙のルールです。
しかし、裏を返せば営業成績さえ上がっていれば、大抵のことは見逃してもらえます。
夜な夜な飲み歩いていようが、それで翌朝会社に遅刻しようが、数字さえ上がっていれば黙認される。良くも悪くも成果主義を地で行くのが、不動産営業の分かりやすいところです。
普通の事務職や企画職であれば、マネージャーやプロジェクトリーダーでも無い限りはチームの仕事の一部分を上司から割り振られ、それを日々こなしていくようなスタイルになりがちです。
ですが不動産仲介営業は平社員であっても、その日どこに行って、誰と会って、何をするかを自分の裁量で決めることができます。
ある意味経営者的な仕事の進め方が求められると共に、営業力さえあれば腕一本で稼げる世界であるため、営業で実績を残して独立する人も珍しくありません。
組織の一員である以上、最低限の報連相は必要ですが、会社に縛られ過ぎずに裁量を持って仕事をできるのが、不動産仲介営業の良いところです。
(2)若くして大金を稼げる可能性がある
2つ目は、「若くして大金を稼げる可能性があること」です。
不動産業界では、多くの場合「歩合給」と呼ばれるものがあり、会社によって割合に違いはあるものの、自身が売り上げた仲介手数料の何%かがそのまま給料に反映されるのです。
20代の若さで、
「月の歩合70万円!」
「ボーナス300万円!」
などという高額な報酬が貰えるのは、仕事へ取り組むに当たって大きなモチベーションになります。
お金だけが仕事のやりがいとは思いませんが、会社に対する自分の貢献が、目に見える形で還元されるというのは嬉しいものです。
「とにかく給料の高い仕事に就きたい!」
というシンプルな思考に基づいて努力を続けることができる方には、特におすすめの職業です。
(3)専門性が身につく
「家」という商品はほぼ全ての人に取って身近な存在ですが、その保有や売買については、建築基準法や都市計画法といった、様々な法律が関係しています。
一見すると普通の一戸建てであっても、実は再建築ができなかったり、配管が隣地に越境していたり、ブロック塀の高さが法令に違反していたり等、プロにしか分からないような、様々な問題が発覚することが多々あります。。
鹿児島 二郎
仮に知識の無い方がこうした事実を知らずに不動産を購入してしまうと、思わぬ損害を被ってしまう可能性があるため、仲介をおこなう不動産仲介営業には高度な専門知識が求められるのです。
また、不動産仲介営業の必須資格である「宅地建物取引士」(通称:宅建)の資格は、人気資格として毎年多くの方が受験しており、このことからも、不動産に関する知識を身に着けるのは、一社会人としての市場価値向上に役立つことが伺えます。
鹿児島 二郎
昨今は世の中にロボットやAIが普及し、近い将来に無くなる仕事がある等と言われ始めていますが、不動産仲介、特に土地・戸建の売買仲介については、同じものが世界に一つも無いという不動産の性質上、AIに居場所を追われる可能性も低いです。
「将来を考えて役立つスキルを身に着けたいけど、プログラミングやWebデザインは何だかイメージが沸かない。。」
そんな風に感じている方は、不動産仲介営業という仕事を、就職先・転職先の候補に加えてみてください。
不動産仲介営業の悪いところ
(1)数字のプレッシャーに追われる
営業という職種であれば、多かれ少なかれつきまとうことではありますが、不動産仲介営業も厳しい数字のプレッシャーと戦う必要のある仕事の一つです。
基本的には個人の方を相手に営業活動をおこなうことが多く、加えて商品が高額であるため、当然ながら簡単には取引を成立させることはできません。
また、人生の中で何度も不動産の売買をおこなう方は少ないため、リピーターを獲得するのも至難の業です。
安定的に売り上げを上げていくためには、実績を残して上司から会社の反響情報を多く振り分けてもらう、不動産売買の見込み客を紹介してくれる弁護士や税理士を開拓する、取引をしてくれたお客様から親戚や友人を紹介してもらう等の工夫が必要となります。
鹿児島 二郎
優秀な営業であっても辛い時期は必ずあるため、プレッシャーに弱い方にはとてもではありませんがおすすめできません。
(2)トラブル産業のため、クレーム対応が多い
不動産の仲介というのは、本当にトラブルの多い世界です。
そして、取り扱う金額も大きいため、一度発生すればその損害額もかなりのものになります。
「トラブルやクレームは、注意をすれば防げるようになるのでは?」
と思われるかもしれませんが、不動産は同じものが一つとして無いことと、取引の手続きをお客様ご自身でおこなう場面が多いため、ベテラン営業マンでもトラブルの発生をゼロにすることは非常に難しいのです。
鹿児島 二郎
-
私が紹介した残置物処理業者の見積もりが高く、売主様が自分で業者を手配。作業後に庭石がそのまま残されており、後日追加費用が発生
-
残置物処理業者が家具を運び出す際、廃棄予定の食器棚を破壊。床にガラス片やゴミが散乱
-
現地に置いてあるはずの案内物件の鍵が無かった(後日、他の業者が持ち帰ったことが判明)
上記は比較的小さなもので、幸い大きなトラブルにはなりませんでしたが、同僚の中にはもっと致命的な仲介責任を問われた者もいます。
クレームの発生を完全に防ぐことは難しいため、お客様との関係性を密にする(何かあっても許してもらえるように仲良くなる)、発生したらすぐに駆けつける、等の対応が必要です。
大きなお金が絡む時の怒りというのは並大抵のものではないため、神経の細い人には胃の痛い日々が続きます。
(3)基本的にワークライフバランスは無い
不動産仲介営業は、基本的に土日に仕事をしてお客様との接客や契約をおこなう仕事です。世間のカレンダー通りに生活することはできません。
土日に彼女とデートをしたり、毎週、趣味の集まりに参加するような社会人生活は諦めてください。
土日に仕事をする分、平日(基本的に水曜日が定休)に休むことになるわけですが、それでも営業用の携帯電話は肌身離さず持ち歩きます。
これはお客様側が、営業マンがいつ休んでいるのかを感覚として把握しにくいため、休日でも電話がかかって来ることがザラにあるからです。
まさかお客様に、
「今月はこの日とこの日が休みなので、電話はしないでください!」
などと伝えるわけにはいきません。皆様がお客様であったら、そんな営業マンには大切な取引をお願いしたくないはずです。
鹿児島 二郎
特に新人の頃は、全てをお客様の都合に合わせるくらいの覚悟を持ちましょう。経験を積むに従って、スケジュールをコントロールして土日に休むこともできるようになりますが、それはベテラン営業になってからの話です。
鹿児島 二郎
基本的に、お客様第一で動けない営業は使い物になりません。趣味に時間を使いたいのであれば、他の就職先を探した方が良いでしょう。
まとめ
-
【 不動産仲介営業の良いところ 】
-
【 不動産仲介営業の悪いところ 】
不動産仲介営業は世間の評判に漏れず、難しさや高い調整力が求められますが、その分、仕事内容がバラエティに富んでおり、常に新しい発見のある仕事です。
今回の記事をご覧になって、覚悟の上で興味を持っていただけた方は、是非不動産会社の門を叩いてみてください。
鹿児島 二郎